概要
ランバート拡散反射を持つシーンの反射特性を測定することで,新たな光源が与えられた場合のシーンの画像を生成するリライティングを行いました.さらに,実シーンの光源分布を与えてイメージベーストライティングを行いました.
ランバート拡散反射面に対するリライティング
ランバート拡散反射面での明るさは次式のように表せられます.
は反射率,は法線,は光源ベクトルです.
式より,反射率と法線が既知であれば,光源ベクトルが与えられた時の明るさが求まります.これを利用することで,新たな光源を設置したときのシーンの画像を生成(リライティング)することができます.
照度差ステレオ法
Woodhamの照度差ステレオ法を使うと,ランバート拡散反射面の法線と反射率の情報を獲得することができます.詳しくは以下の記事をご覧ください.
法線と反射率の測定
Woodhamの照度差ステレオ法を用いて,シーンの法線と反射率を測定しました.対象とする物体はイノシシの置物です.牙と目の部分に少し光沢があります.
測定によって得られた法線と反射率の画像です.
リライティングの結果
法線と反射率の情報から,単一の平行光源を設置した場合のシーンをリライティングした結果です.
Reflectance Field
単一光源のリライティングだけではつまらないので,もう少し発展させてイメージベーストライティングを行います.
実シーンに対するイメージベーストライティングはDebevecらの手法が有名です.Debevecらは,light stageとよばれる装置を用いて,光源方向を変えながら撮影した複数の画像からreflectance fieldとよばれる反射光の分布を獲得しました.このreflectance fieldを用いることで,実物体に対してもイメージベーストライティングを行うことができます*1.
ここで,シーンをランバート拡散反射を持つシーンに限定し,法線と反射率が既知であれば,light stageといった大型の装置を使わずにreflectance fieldを獲得することができます.
イメージベーストライティングの結果
法線と反射率からreflectance fieldを計算し,パノラマ画像を光源とした場合のイメージベーストライティングを行なった結果です.パノラマ画像の一部はこちらのものを使わせてもらってます.
*1:Paul Debevec, Tim Hawkins, Chris Tchou, Haarm-Pieter Duiker, Westley Sarokin, and Mark Sagar. Ac- quiring the Reflectance Field of a Human Face. In Proceedings of the 27th Annual Conference on Computer Graphics and Interactive Techniques, SIGGRAPH ’00, pages 145–156. ACM Press/Addison-Wesley Publish- ing Co., 2000.