あらいさん日記(仮)

あらい日記

活動の記録

ランバート拡散反射を持つシーンに対するリライティング

概要

ランバート拡散反射を持つシーンの反射特性を測定することで,新たな光源が与えられた場合のシーンの画像を生成するリライティングを行いました.さらに,実シーンの光源分布を与えてイメージベーストライティングを行いました.

ランバート拡散反射面に対するリライティング

ランバート拡散反射面での明るさIは次式のように表せられます.

 I = \rho \boldsymbol{n} \cdot \boldsymbol{l}

\rhoは反射率,\boldsymbol{n}は法線,\boldsymbol{l}は光源ベクトルです. 

式より,反射率と法線が既知であれば,光源ベクトルが与えられた時の明るさが求まります.これを利用することで,新たな光源を設置したときのシーンの画像を生成(リライティング)することができます.

照度差ステレオ法

Woodhamの照度差ステレオ法を使うと,ランバート拡散反射面の法線と反射率の情報を獲得することができます.詳しくは以下の記事をご覧ください.

raccoon15.hatenablog.com

raccoon15.hatenablog.com

法線と反射率の測定

Woodhamの照度差ステレオ法を用いて,シーンの法線と反射率を測定しました.対象とする物体はイノシシの置物です.牙と目の部分に少し光沢があります.

f:id:raccoon15:20181227143756j:plain

対象物体

f:id:raccoon15:20181227143832j:plain

撮影の様子

測定によって得られた法線と反射率の画像です.

f:id:raccoon15:20181227145815p:plain
f:id:raccoon15:20181227145822p:plain
測定した法線と反射率

リライティングの結果

法線と反射率の情報から,単一の平行光源を設置した場合のシーンをリライティングした結果です. 


Lambertian Image Relighting

Reflectance Field

単一光源のリライティングだけではつまらないので,もう少し発展させてイメージベーストライティングを行います.

実シーンに対するイメージベーストライティングはDebevecらの手法が有名です.Debevecらは,light stageとよばれる装置を用いて,光源方向を変えながら撮影した複数の画像からreflectance fieldとよばれる反射光の分布を獲得しました.このreflectance fieldを用いることで,実物体に対してもイメージベーストライティングを行うことができます*1

ここで,シーンをランバート拡散反射を持つシーンに限定し,法線と反射率が既知であれば,light stageといった大型の装置を使わずにreflectance fieldを獲得することができます.

イメージベーストライティングの結果

法線と反射率からreflectance fieldを計算し,パノラマ画像を光源とした場合のイメージベーストライティングを行なった結果です.パノラマ画像の一部はこちらのものを使わせてもらってます.

f:id:raccoon15:20181225200722p:plain
f:id:raccoon15:20181227212624p:plain
f:id:raccoon15:20181225202259p:plain
f:id:raccoon15:20181227212632p:plain
f:id:raccoon15:20181225201318p:plain
f:id:raccoon15:20181227212639p:plain
f:id:raccoon15:20181227154725j:plain
f:id:raccoon15:20181227212655p:plain
ランバート拡散反射を持つシーンに対するイメージベーストライティング

*1:Paul Debevec, Tim Hawkins, Chris Tchou, Haarm-Pieter Duiker, Westley Sarokin, and Mark Sagar. Ac- quiring the Reflectance Field of a Human Face. In Proceedings of the 27th Annual Conference on Computer Graphics and Interactive Techniques, SIGGRAPH ’00, pages 145–156. ACM Press/Addison-Wesley Publish- ing Co., 2000.