POV-Rayによるイメージベーストライティング
概要
イメージベーストライティングの手法を用いて,合成画像に対してシーンに対する写実的な画像を生成しました.
イメージベーストライティング
実シーンの照明環境を計測して,それを仮想物体を描画する際に用いることで,写実的な画像を生成するという枠組みを,イメージベーストライティング(image-based lighting:IBL)とよびます.
光源分布
シーン中にある遠方光源を表した関数を光源分布とよびます.光源分布の計測には,魚眼レンズを装着したカメラを用いる方法や,鏡面球などの較正用物体を用いる方法があります.鏡面球を用いて照明環境を記録した画像を,特にLight Probe画像とよびます*1.
Light Probe画像についてはこちらをご覧ください.
撮影の際は広いレンジの明るさを記録するために,露出を変えた複数の画像を合成します.このような画像をHDR画像とよびます.
POV-Rayにおける光源の設定
POV-RayではRadiance形式(拡張子".hdr")のHDR画像を天球(sky_sphre)に設定することで,遠方光源として扱うことができるようになります.
レンダリング
実際にPOV-Rayでイメージベーストライティングをやっていきます.
光源の設定に必要なHDR画像は以下のサイトにあるものを使わせてもらいました.こちらのサイトでは非常に高品質なHDRパノラマ画像を提供しています.
ライティングする対象は下の図に示す物体です.中心にStanford dragonを配置し,周りには拡散球,鏡面急,ガラス球などを置いています,
レンダリングの際にはラジオシティを使用しました.
Short Tunnelでレンダリングした結果です.
Skylit Garageでレンダリングした結果です.
The Sky Is On Fireでレンダリングした結果です.
このように,イメージベーストライティングの手法を用いることで,シーンに対するフォトリアルな画像を生成することができました.
*1:Paul Debevec. Rendering Synthetic Objects into Real Scenes: Bridging Traditional and Image-based Graph- ics with Global Illumination and High Dynamic Range Photography. In Proceedings of the 25th Annual Conference on Computer Graphics and Interactive Techniques, SIGGRAPH ’98, pages 189–198. ACM, 1998.